更年期障害

 更年期障害とは、加齢に伴い卵巣機能が低下し、卵巣から分泌される女性ホルモンの量が減り、これが脳の視床下部にある自律神経の中枢に影響を及ぼし自律神経の乱れを引き起こします。更に、生活環境や家庭環境からくる心理的ストレスが乱れた自律神経の乱れと相まって、憂うつ情緒不安定などの精神症状を引き起こします。

症状

◎自律神経失調症状

・血管運動神経症状:ホットフラッシュ(のぼせ、ほてり)、発汗、冷え性

・睡眠障害・動悸・頭痛・めまい・耳鳴り

◎精神症状

・憂うつ・精神不安定・意欲低下・不安感・記憶力の減退

◎その他の症状

・運動器症状:肩こり、関節痛、腰痛、筋肉痛

・消化器疾患:腹痛、食欲不振、悪心、嘔吐、下痢

・その他:疲れやすい、口渇感、皮膚のかゆみ

東洋医学的な見方

 東洋医学では更年期障害を腎の病証ととらえます。腎は精気を蓄えます。人は腎に蓄えられた精気を消耗しながら生きて行きます。そして精気の消耗と共に女性は7の倍数で身体の変化を感じると言います。7才で永久歯が生え、14歳で初潮を迎え、21才で女性らしい体に、28才は女性として体が最も充実し、35才には容姿の衰えが見え始め、42才なると白髪が目立ちだし、49才に閉経を迎えます。

腎の病症

【心腎不交】

 腎は五臓の水で心は五臓の火。腎の水が心の火を抑制していますが、腎の精気が不足すると心の火の勢いを抑制できなくなり、結果、心が暴走してしまいます。それにより、頭痛のぼせほてりめまい動悸睡眠障害や、精神不安定などの諸症状が現れます。

【腎陰虚】

 腎の陰液の不足により虚熱症状を伴う事が多く、症状は五心煩熱盗汗舌質紅舌苔少脈は細となります。腎は細やかな動作や忍耐強さとも関係するため、腎が弱ってくると、忍耐強さは低下し、疲れやすくなり、細やかな動作がしづらくなってきます。加えて、腎虚に共通してみられる、腰や膝のだるさなども現れます。

【腎陽虚】

 腎の陽の不足により、温煦機能、気化機能、生殖機能の低下みられます。温煦機能の低下により冷えが、気化機能の低下で泌尿器に異常が、生殖機能の低下により不妊や自律神経症状が現れます。また、気化機能の低下により溢れ出てしまった水が浮腫となります(水泛)。