不妊症

東洋医学的な見方

不孕(ふよう)

結婚後3年以上経過し、かつ避妊を試みていないにもかかわらず妊娠しないものをいう。腎虚・肝鬱・痰湿などの要因から衝脈・任脈の機能が失調する事で起こる。すなわち、胞脈がその滋養を失ったり、阻滞する事で、精子を摂受し胎を生育する能力を失う。

治療は滋補肝腎・腱脾除湿・衝任二脈の調整を原則とする。

肝鬱不孕(かんうつふよう)

肝気の鬱滞より起こる。臨床上での不妊の他に、来潮時の腹痛、月経排出の不暢・経血量少・経血色の異常(暗紫色、小血塊を伴う)・月経来潮前の乳房腫痛・心情鬱悶、または煩躁しておこりやくなる、などの症状がみられる。舌質紅、舌苔薄白、脈弦

長期間の情緒不安や抑うつ・怒りなどの要因から肝気が鬱結し、肝の疏泄機能が失調すると、気血の不調和が生じるとともに、衝任二脈の相互滋養が不能となる。その結果、衝任二脈が満たされなくなり、月経の来潮にも異常が生じ、両精の結合も障害されて、不妊にいたる。治療は舒肝解鬱・補気養血・調和衝任を原則とする。

腎虚不孕(じんきょふよう)

腎虚に起因する不孕。不妊のほかに月経周期の異常・経血量減少・経血色痰・腰膝部が物だるく力がなくなる・性欲減退・顔面が黒く無光沢などの全身症状。大便溏薄・小便澄んで量が少ない・少量・舌質痰・舌苔薄白・脈は沈細または、沈遅。先天の腎気の不足から精血が虚し、衝任二脈が満たされなくなると、胞脈も精血の滋養を失う。この結果、月経の周期的あ来潮が障害されるめ、両精の結合が不能となり不妊にいたる。治療は、補腎腱脾・調補衝任を基本とする。

痰湿不孕(たんしつふよう)

痰湿内阻に由来する不孕。肥満傾向・月経周期の遅延・白帯量や性状の異常(多量、粘稠性)・めまい・動悸・顔面蒼白・無光沢・胸中満悶し、吐き気を催すも何も吐き出せない、などの症状がみられる。舌苔は白膩・脈は滑。

本証の病因は、肥満体質で、辛熱類、油膩物の過食に伴う胃気の壅滞・脾虚がある。脾虚により水湿の運化が失調すると体内に痰湿が生じ、気機の昇降出入を妨げる。その結果胞脈の気血が阻滞されると月経来潮にも異常が生じ、両精の結合が不能になる。治療は腱脾益気・燥湿化痰を基本とする。