補中益気湯

補中益気湯【ほちゅうえっきとう】

疲れやすく、胃腸が弱いなどの気虚の人に用いる補気薬です。さらに気虚の中でも胃下垂、子宮垂、遊走腎などの内臓下垂(中気下陥)にたいする特効薬です。補中益気湯の主薬である黄耆は、脾の働きを強めるとともに、筋肉に緊張を与え、垂れ下がった内臓を引っ張り上げます。また、体の表皮部に作用して、毛穴の開閉を正常にし、皮膚の抵抗力を高める作用もあります。

◎主な証型

元気がない、疲れやすい、食欲不振などの脾胃気虚に、以下のような症状が加わった時に用います。

四肢がだるい、立ちくらみ、汗をかきやすい、便秘あるいは泥状か水様便、慢性の下痢、内臓下垂などの中気下陥の症状。舌質は淡紅、脈は虚大

少量で間欠的に持続する出血(下半身や皮下にみられる)、月経周期の短縮や月経過多で、経血の色が薄いなどの脾不統血の症状。舌質は淡紅か淡白、脈は虚大

慢性の微熱(精神的、肉体的疲労にともなう)、自汗、頭痛、悪寒などをともなう気虚の発熱。舌質はやや紅、舌苔は白、脈は洪大

☆☆ 成 分 ☆☆

黄耆:補気固表 消火器系の働きを強化し、体表部の抵抗力を高めます。

人参:補中益気 消化器系の働きを強化します。

大棗:益気健脾 元気をつけ、諸薬を調和させます。

白朮:益気健脾 元気をつけ、消化吸収作用、利尿作用を高めます。

当帰:補血活血 造血し、潤腸通便します。

陳皮:理気和胃 消火器系の働きを正常にして、湿をとります。

生姜:理気和胃 健胃、鎮吐作用があります。

柴胡:昇挙陽気 気を持ち上げます。

升麻:昇挙陽気 気を持ち上げます。

炙甘草:諸薬調和 諸薬を調和させます。